
季節と水温
春濁り ― 濁りは、海が動き出した合図
最終更新: 2026-08-03
春先、透明度が落ちて海が茶色がかった緑に濁る時期があります。春濁りと呼ばれるこの現象は、海が汚れたのではなく、一年で最も生命が動き出した瞬間の姿です。
冬に仕込まれ、春に爆発する
順序を追うとこうなります。
冬 — 表層の海水が冷やされて密度が増し、沈み込む。上層と下層の水が循環し、下層に沈殿していた栄養塩類が上層へ運ばれる。水温躍層が消えている時期だからこそ起きる混合です。
春 — 日差しが強まり水温が上がる。栄養が豊富な水に光が届いた結果、植物プランクトンが一気に増殖する。
栄養塩とはケイ酸塩・リン酸塩・硝酸塩などを指し、植物プランクトンや海藻の成長に必須の養分です。冬の循環が「仕込み」で、春の日射が「点火」にあたります。
さらに、冬場に育った海藻類が枯れて水温上昇とともに溶け出すことも一因とされ、黄砂が海に落ちて栄養分を増やすという説もあります。
時期は3月中旬から
おおむね3月中旬〜4月下旬が一般的とされますが、長引く年もあれば極端に短い年もあります。年ごとのばらつきが大きい現象です。
濁りは「起爆剤」
釣り人にとって濁りはネガティブな条件として語られがちですが、春濁りの位置づけは少し違います。
植物プランクトンが増える → 動物プランクトンが増える → 小型魚が増える → それを食べる魚が集まる。この連鎖の起点が春濁りで、海の生態系をサイクルさせるための起爆剤と表現されます。
濁っているから釣れない、のではなく、濁るほどの生産が始まったからこそ、その先に魚が動く季節が来る。春の釣りが良いとされる背景には、乗っ込みのような産卵絡みの動きだけでなく、餌の絶対量が増えるという土台があります。
見た目で判断しない
春濁りは、水が悪くなったサインではありません。同じ「濁り」でも、雨後の泥濁りと、プランクトンによる濁りでは意味がまるで違います。
前者は陸から流れ込んだ土砂で、後者は海の中で生まれた生命です。水の色を見るとき、それがどちらの濁りなのかを区別できると、同じ景色から読み取れることが増えます。
出典・根拠
- 暖かくなると発生する「春濁り」の原理 生態系を回す起爆剤の役割も? - TSURINEWS https://tsurinews.jp/159623/
- 春濁りはなぜ起こる?意外と知られていないその原因に迫る! - オーシャナ https://oceana.ne.jp/diving/diving-news/109925
- 春夏秋冬の天気と海 〜春濁りの原因は?〜 - オーシャナ https://oceana.ne.jp/column/54559