
季節と水温
季節回遊 ― 適水温を追いかける移動
最終更新: 2026-08-03
「秋になると青物が回ってくる」「冬は魚が抜ける」——釣り人が季節で語るこの現象の実体は、魚が適水温を求めて移動しているということです。変温動物である魚には自分で体温を調節する術がなく、生きやすい水温の場所へ自ら動くしかありません。
水温は「探しに行くもの」
魚類は変温動物であるため、体温はまわりの水温にほぼ一致します。魚種ごとに特有の適水温があり、活動するのに最も適した水温に近い環境を選択するという行動特性があります。
つまり魚にとって水温は、耐えるものではなく探しに行くものです。季節回遊と呼ばれる大きな移動も、産卵など他の要因と絡み合いながら、その根っこには水温がある。
ブリが選んでいる水温
ブリの追跡調査は、この行動を具体的な数字で見せてくれます。回遊群のブリが季節ごとに選んでいた水温は、
- 春(3月):17℃前後
- 夏(7〜8月):低水温域へ移動(避暑行動)
- 秋(9〜11月):20℃前後
- 冬:段階的に低下
夏に姿を消すのは、いなくなったのではなく涼しい水を探しに行っているということです。そして水温14℃を下回ると、その水域から移動することが多くなるとされます。
漁業者の間には「水温16℃の潮がくるとブリがとれる」という経験則があり、実際にブリ銘柄の漁獲ピークは水温約17℃で確認されています。経験則と観測値が噛み合っている好例です。
年齢で適水温は変わる
見落とされがちなのが、同じ魚種でも成長段階で適水温が違うことです。ブリの場合、
- 0〜1才魚:20〜29℃
- 1〜3才魚:15〜20℃
- 2〜4年魚:15〜20℃
若い個体ほど高水温を好み、成長とともに適水温が下がっていきます。夏に釣れるのが小型ばかりで、寒くなるほど良型が出るのは、腕でも運でもなく、この差によるところが大きい。
「ブリの適水温」と一括りにできないというのは、狙うサイズによって選ぶ時期と場所が変わるということです。
水温を追うということ
季節回遊を理解すると、釣行計画の立て方が変わります。カレンダーで「そろそろ秋の青物」と考えるのではなく、その水温帯が今どこにあるかを考える。
水温は1ヶ月遅れてくるという前提と組み合わせれば、暦の季節と魚のいる場所がずれる理由も見えてきます。魚は暦を見ていません。水温だけを見ています。
出典・根拠
- ブリの適水温は何℃?調査・研究報告を調べてみた【行動パターン】- りくつり https://aifishing.net/suitwatertemp_yellowtail/
- 水温と魚の活性の関係性について徹底解剖!- FISHING JAPAN https://fishingjapan.jp/fishing/8505
- 魚種別生息水温一覧【釣り人向け完全ガイド】 https://tsuttarou.net/archives/218787